Conway’s Law(コンウェイの法則) and Inverse Conway’s Law(逆コンウェイの法則)

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チームトポロジーという本を読んでいて、読了前ですが、この本の主旨になっているConway’s Lawについてご紹介します。

Conway’s Law(コンウェイの法則)とは

書籍から引用すると

「システムを設計する組織は、その構造をそっくりまねた構造の設計を生み出してしまう」

マシュー・スケルトン、マニュエル・パイス: チームトポロジー, 日本能率協会マネジメントセンター, 2021

となり、1967年にMel ConwayさんがHarvard Business Reviewに投稿して拒絶され、翌年1968年にDatamationというIT雑誌に取り上げて世に出た法則です。原文が以下で見られます。

アーキテクチャは組織構造に従って作られてしまうため、逆に組織構造に合わないアーキテクチャを描くと、組織構造との差異から、そのアーキテクチャを実現しようとするチームにとても負担がかかる、ということを示唆しています。この書籍チームトポロジーの中では、人事部やマネージャーが決めた組織でシステム開発を始めれば、人事部やマネージャーが決めたアーキテクチャをチームが実現することになり、理想的なサービスには行き着かないという話も出てきいます。

管理職をやっていた時期を振り返ると正直耳が痛い話ではあります。アーキテクチャを想定した上で人事の話をしていたかというと、サービス提供のために必要な組織を作るという意味では、それに貢献出来そうな議論はしていたものの、評価や育成、ローテーションなど様々な要因も検討した上で組織設計議論をすることもあり、アーキテクチャとしてうまく機能しない部分が、そういった組織設計の議論の中でかなり役割を占めていたのだなという反省にもつながります。

Inverse Conway’s Law (逆コンウェイの法則)とは

組織設計でアーキテクチャが決まるのなら、理想的なアーキテクチャに合わせて組織設計をすれば良いのではという提案です。ソフトウェアコンサルティング会社ThoughtWorksのJames LewisがNDC Londonで2017年の発表した内容で、以下のYoutubeからその発表を見られます。

Microservices and the Inverse Conway Manoeuvre – James Lewis

確かに理論的には筋の通った話に聞こえます。書籍チームトポロジーの中では、そううまくいかないや具体的にはどう機能させれば良いのかという説明が続きます。この続きは、読了後に改めてまとめられればと思いますが、個人的な経験を踏まえると、階層構造の強い属人的な組織ではなかなか実現が難しいように思えます。組織としての考え方自体を見直す話にもつながるので組織文化の更新までをある程度視野に入れ、覚悟を持って取り組んだ方がよい内容になるのではと思います。

ここまでのまとめ

まだ読み始めて序盤ではあるのですが、気になる点がすでにたくさん出てきており、どうやったらソフトウェア、デジタル化が進むのかを考えている方にチームトポロジーはとてもおすすめできる書籍と思います。Spotifyの事例などを織り交ぜながら実組織での実践例が出てきており、理論にとどまらない実践につながる内容は実務者にとっても有益な内容と思います。

翻訳書における鮮度

少し脱線しますが、この本を翻訳いただいた方々にはとても感謝しつつも、原書は2019年に出版されていることに焦りを感じました。書籍として出版するまでの準備が仮に1年かかるとすると、さらにその前おそらく2017年ぐらいからこういった話が重要であるという話がされていたと言うことです。つまり、約5年前のトレンドをおすすめできるという話にもなります。この鮮度感は個人的に気をつけてご紹介できればと思っています。

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